活あさり
一日中家にいる。
一人きりの部屋で、雑にコンテンツを消費して、やるべきことは何も進まない。
そんな日々が続いている。
連休に入ったらしい。
ここまで日常と地続きの連休は初めてかもしれない。
非日常の中に生まれた日常に続く、非日常のはずだった日常。
いくら外出を避けるといっても、そのうち部屋から食料は尽きる。
生きるためには食わねばならない。
ピークタイムを外して、スーパーに行く。
鮮魚コーナー。
パックに平たく詰められた「活あさり」。
居酒屋にもいかない今、あさりの酒蒸しが急に食べたくなって、買った。
パックに詰められた活きているはずのあさり、なんだかやけに開いている気がする。
大丈夫だろうか。
食べるのは明日になるし、新鮮に保存する方法を調べる。
3%程度の塩水に入れておくと長持ちするらしい。
砂抜きと同じ要領みたい。
ボウルに塩水を用意して、あさりを入れる。
殻を開いて苦しそうに見えていたあさりは、一斉に殻を閉じた。
じっと見ていたら、そのうち管を伸ばし、なにがしかを吐いた。
400gのあさりたちが、ボウルの中でしずかに動き、水を揺らす。
あさりは確か生きていた。
見つめながら、ふと思う。
今この部屋にひとつ以上の命があるということ。
僕は明日まで、彼らと一緒に暮らすこと。
久しぶりに自分以外の命がこの部屋にある。
言葉にできない、変な気持ち。
どうやら疲れているらしい。
酒蒸し、うまく作れるといいな。
お題「#おうち時間」