とある獣医学徒の寝言

好きなものを垂れ流します

2年ぶりの有観客ライブ参加「寺嶋由芙生誕ライブ2022〜わたしより張り切っている横顔に祝われながら夏がはじまる〜」

感染症拡大等諸々の事情によりまったく行けていなかった有観客ライブに2年以上ぶりに行ってきた。7月10日にTOKYO FMホールで開催された「寺嶋由芙生誕ライブ2022〜わたしより張り切っている横顔に祝われながら夏がはじまる〜」だ。

久々すぎてあまりにも色々な感情が呼び起こされてしまったので、感情の揺れによる曖昧な記憶も多いながらも、セットリストをなぞりながらぬるいヲタクの自分語り備忘録を残したい。

 

------------------

 

この2年で私の生活もガラリと変わってしまい、不要不急の娯楽やハレの日の楽しみが失われるのと同時に、ちょうど仕事(に類するもの)のしんどさも相まって憂鬱な日々が続くことが増えてしまい、近年のゆふさん情報はほとんど追えていなかった。

それでも推しの誕生日はしかと覚えている。

もちろん生誕ライブが行われるであろうことも。

一昨年ないし去年は配信で観賞していたが、ついに今年は状況的にもいけるかも、どうにか予定もつきそうだ、となったところでソールドアウトも迫り、急いでチケットを購入した。

 

そして当日、真面目なアイドルの真面目なヲタクは投票に行き、その後やるべきことを片付けていたらあっという間に開場時間が近づいてしまい、慌てて会場へ。

久々の現場は緊張して、何をどうしていたかもあやふやだったが、いそいそと物販に並んだあと、会場限定「ゆふ試験2022」をせっせと解き、おずおずとフィルムステッカーをもらったら、大人しく着席してTwitterを見続けた(きっと2年前もこうしていた)。

 

やがてBGMが消え、会場の雰囲気が否応なしに変わる。

会場中が息を呑むような。

この雰囲気を肌で感じられる瞬間を2年間、待ち侘びていた。

 

久しぶりに生で見るゆふさんは、僕の記憶にある姿と変わらず、ステージ上でたくさんの視線を集め、一際輝いていた。

 

すらっとした長い手足の映える振り付けとともに、1曲目は「恋の大三角関係」。制服!灯台!ムー!リリイベでとっさに自前のノートを取り出して撮った制服ゆっふぃーとのチェキ!記憶が一気になだれ込んでくる。楽曲はその当時の記憶を鮮明に呼び起こす優秀な記憶装置の役割も持っていると常々思っていて、最近の憂鬱な日常に飲み込まれていた私の奥底に眠っていた、なんとか都合をつけてゆっふぃーのリリイベやライブに行く、そのために日々を奮闘していた、生き生きとしていた時の私を、一曲目から引きずり出してくれる。

続く特徴的な歌詞が好きな「冬みたい、夏なのに。」を聴きながら、お、これは夏曲コーナーかな?と思い至ると、「カンパニュラの憂鬱」で、体に染み付いた振りコピがまだまだ消えてないことに気づいて、一人ニヤニヤしてしまった。初めてライブで聴いた時、間奏のゆるサークルモッシュ?の時にどうしていいかわからなくて立ち尽くした思い出も頭をよぎる。
「わたしを旅行につれてって」は、当時話題となった旅行男という名詞とともに、海外に行っていて推し始めて初の生誕ライブに参加できなかった無念さが、夏そのものを具現化したような爽やかな青の衣装のゆふさんとともに思い出された。
 
椅子(カデちゃん)が登場して、これは、と思うと手には赤い一冊の本。背後のスクリーンには本のページを捲るように歌詞が映り、「仮縫いのドレス」。改めて歌詞を噛みしめながら聴いていると、その中の一節にはっと気付かされた。
”だけど思い出は帰る場所じゃない 明日へ行くためのそれは道しるべ”
実際私は、ライブが始まってから、曲にまつわる思い出を掘り起こしては、その当時の自身の活力だとか、あるいは世の中がまとっていた空気感だとか、どこか勝手に今や失われたと思い込んでいるものを懐かしんで、羨んで、そして諦めに似たような気持ちとともに飲み込んでいた。でもそれはきっと間違っている。
思い出は大切にしておけばいい、でもそれに縋って、振り返ってばかりで、失ったものを数えていても何も起きない。思い出は大切にしながらも、きっとそれらを先を照らす灯りに変えて、これからの未来を進んでいくのだと、推しの真っ直ぐで透き通った声に教えられた。胸がつまった。
「Last Cinderella」はどこか衝撃を引きずりながら聴いていたけれど、椅子を持ち上げくるくる回るゆふさんがしなやかで、とても素敵で、目の前のパフォーマンスへの集中を欠いたことを誰にともなく恥じた。
「君にトロピタイナ」そして「Best Honey」。このブロックは全体的に大人の階段を登るゆふさんの大人っぽい魅力が詰まっていたような気がする。トロピタイナのクラップは、声が出せない現状でも会場の一体感を感じられて良かったし、Best Honeyは”最低で最高なHoney”の歌い方が好きでたまらない。
 
そろそろ体動かしたくない?ブロックは「夏'n ON-DO」から。不意に後ろから法被を着た人が現れてヲタクの演出かなと一瞬思ってしまったが、スタッフさん達の盛り上げ隊で、ライブのエンタメ性がより一層高まったのを感じた。その場を共有している人々の盛り上がりを感じ、共鳴するように自分も感情が一層昂っていく、やはりライブはいいなと思う。
そのままステージ上に男性ダンサー2人を残して「いい女をよろしく」。ステージにゆるキャラが上がっている時よりも絵面がシュールに感じてしまったのは私だけだろうか。見たことのない取り合わせに戸惑いながらも、人間のダンサーだからこそできるフリの組み合わせがとても良かった(寿司とか特に)。間奏部分では、ダンサーとゆふさんの煽りに合わせて、前日に運動不足が祟って突然痛めた肩の様子を窺いながら腕を動かした。ちょうど良いリハビリになったかもしれない。
「ラブ*ソング」は私がいろいろ無理になってしまっていた直近のリリース曲で、申し訳ないことにあまりカバーできていなかったのだが、ゆふさんの推しへの気持ちが詰まった曲であることがひしひしと伝わってきた。背後に映るダンス動画や、前日のバスツアーでの動画で、私が勝手に見知った気になっていたりする愉快なゆふぃすとの皆様も拝見できた。
 
「101回目のファーストキス」、それから「初恋のシルエット」は、私の中でもスッと耳に馴染む完璧な定番曲でありながら、背景の学校の描写からか、今までよりも鮮明に、歌詞が示す情景と自らの青春の記憶がリンクして呼び起こされ、懐かしさや切なさがマシマシになって込み上げた。そこで「好きがはじける」である。大好きな「好きがシリーズ」の中でも一段と好きな曲で、私の感情はまたグッと上がる。特に間奏のギターソロからの早口のCメロ部分が好きなので、ノリノリで聴いていたのだが、突然音が止まった。まさにぽかんという音が聞こえてきそうな会場の空気にゆふさんは悪戯っぽく笑うと、マイクを下ろして生声で歌い始めた。会場中に響き渡った歌声と心に迫る”キミが好き”は、ゆふさんのゆふぃすとを思う気持ちの結晶だったのかもしれない。今日ここにいれて良かったと、心の底から思った。
続く「ねらいうち」でテンションは最高潮に。つい出したくなってしまう声を必死で抑えながら、クラップでmixを表現するゆふぃすとのみなさまに倣ってクラップ。声を出せないなら出せないなりに盛り上げる形がしっかり進化していて、こういった皆様のおかげでこの2年あまりの現場が守られていたんだと思うと脱帽。からの「好きがこぼれる」はもう興奮しすぎて。僕自身、身勝手ながら心のどこかで、居続けてくれることに勝手に安心したりあるいは慢心したりしてしまっているかもしれないけど、色々な世の中の移り変わりがあっても、ゆふさんはいつだって”わたしはここにいるでしょ”と歌い続けてくれていて、こうしてパフォーマンスを届け続けてくれる、こんな素敵な空間を作り続けてくれることは本当にすごいことで、改めて感謝だよなあ、と思う。
 
「わたしになる」は自分が初めてリリイベに行った時の曲であり、思い入れもいっそう強い曲。久しぶりでもやっぱり振りはしっかり覚えていて、この曲を私のゆふぃすととしての始まりの曲として、ここまで歩んできたのだと思うとやはり込み上げるものがある。
そんなことを思いながらの「#ゆーふらいとⅡ」、曲自体が圧倒的ゆふぃすとに向けられた曲だと思っているのだが、今回そんな曲とともに背景に映ったのはゆふさん作の短歌。ゆふぃすとに向けた短歌からは、会場にいる、応援している一人ひとりを大切に思う気持ちがまっすぐ伝わってくる。当たり前のことだけれど、今ここに集まっている人たちには普段それぞれの暮らしがあって、共有するのは今この瞬間だけに過ぎなくて、アイドルとその観客という関係性は儚い。儚いながらも、その関係性だからこそ生まれる物語があって、ゆふさんはそれをまるっと包み込んで大切にしていることがわかる。ゆふさんがゆふぃすと一人ひとりと、ゆふぃすと一人ひとりがゆふさんともつ記憶を、ゆふさんは大切に31文字へ落とし込んでいて、それはゆふさんが変わらずにいながら、新たな表現を磨いて前向きに変わっていっていることの証左であって、振りコピやらクラップやらを忘れてしまうほど突き刺さるものであった。
「愛ならプロペラ」は「ラブ*ソング」同様あまりカバーできていなかったのだが、ライブで聴いてすっかり虜になってしまい、帰宅後も何度も繰り返し聴いてしまった。作詞が「仮縫いのドレス」と同じ松井五郎さんというのを確認して納得、言葉の力が強い素敵な曲だと思う。
本編の締めは「サバイバル・レディ」。撮影可能タイムということで、ステージを降りて客席の間を練り歩きながらのパフォーマンス。コロナ禍以降会場の関係などからなかなか客席を歩くことも叶わなくて、やっとできるようになったとのこと。私も例に漏れず(?)、あまり上手に撮影できなかったのだが、これはこれで自分自身で大切に持っておこうと思う。今年も、これから先も、アイドルとしてサバイブしていく決意も感じられるようなパフォーマンスとともに本編終了。同時にアンコールの拍手が会場中に鳴り響いた。
 
暗転中にアコースティックギターがスタンバイされ、まさか推しがギターを習得したのか?などと混乱してしまったのだが、アンコールは宮野弦士さんと登場。菅原都々子さん衣装のリメイクだという緑の衣装のまた似合うこと。しっとりとした品を感じさせるとともにアイドルとしての華やかさも備えていて。
アンコール1曲目は「あたらしいわたし」。宮野さんの小気味良いストロークでかき鳴らされるアコギに乗せた歌唱には、生演奏と共に歌う時ならではの間の取り方や、リズム感みたいなものがあるような気がして、そしてなにより演奏者と目を合わせて意思疎通を図る感じはやはり生演奏ならではの素敵ポイントだと思っている。キーボードとともに披露された「君も好きだったんだね、夏」は宮野さんの綺麗な運指にも目を奪われながらも、毎回"潮風、麦わら、なびく髪"の流れるような振りが可愛らしくてすごく素敵で、ついそのフレーズを待ち侘びてしまう。また、曲調だけで夏を思わせるあの感じは、どうして生まれるのだろうといつも思う。
 
ダブルアンコールも宮野さんとともに、7月10日は日曜日。ということでもちろん最後は「ぼくらの日曜日」。今年5月に閉店してしまったタワレコ吉祥寺でのリリイベで初めて聞いた時の感動が蘇る。簡単に人と会うことが叶わなくなってしまったこの2年間。この歌の歌詞がより一層心に響いてきた。

 

終演後、高揚感が全くおさまらなくて、ホールのある半蔵門から永田町まで一駅ぶん歩いて、国会議事堂を横目に見ながら地下鉄の駅へと進んだ。

明日からまた日常が始まる。

一人きり、帰り道にかみしめる。

ゆっふぃー、また会いにくるからね。

 

------------------

 

なお、約1年ぶりの特典会は緊張しまくりで、ライブの感想を伝えることさえままならなかった。そしてそんな久々な私でも覚えていてくれているゆふさんに改めて尊敬と感謝だった。ライブはいいなあ。

おしまい。